金融商品取引における顧客資産の保護の意義

金融商品取引における顧客資産の保護の意義

米国で暗号資産交換業を行っていた大手業者が破綻し、顧客資産保護に関する規制のあり方に新たな関心が高まっている。暗号資産の規制については、米国よりも日本の方が先行しており、日本においては、暗号資産についても有価証券等を扱う金融商品取引業者(以下「金商業者」)の規制に類似した制度が構築されている。
顧客資産の預託を受けている取引業者等が破綻した場合の顧客資産の保護制度については、2008年以降の世界的な金融危機後の国際的金融改革論議の中でも様々な議論がなされるなど、国際的にも大きな関心事となっている。本稿では、我が国の証券分野における制度を中心に、金融商品取引における顧客資産保護の現状と課題を、概観してみたい。意見にわたる部分は個人のものであり、筆者の関与する組織のものではない。
  
大久保良夫 日本投資者保護基金 理事長 著者経歴
 

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