二次利用について
2021年12月3日
「マドフ事件と投資者保護」
大久保良夫 日本投資者保護基金 理事長
2008年に表面化したマドフ事件は、史上最大の金融詐欺と呼ばれ、SECをはじめとする規制機関や金融業界への信頼を大きく揺るがした事件であった。事件の首謀者、バーナード・L・マドフ(Bernard L. Madoff(1938.4.29 ~2021.4.14.))はNasdaq取引所の会長を務めるなど金融界の大物であり、その巨大なファンドに殆ど資金がないことが明らかになると、世界中に衝撃をもたらした。他方、その後の破産管財人たちの回収努力により、投資額の約7割が既に投資家に返還されていることも注目に値する。本稿では、こうしたマドフ事件の顛末とそれに関わる米国の投資家保護制度について私の理解を述べてみたい。
カテゴリー 金融資本市場
2021年11月19日
「FinTechの発展形」
河合祐子 Japan Digital Design 株式会社 代表取締役CEO
グローバルなFinTechの発展を振り返り、中国においては、非金融事業者主導で、スマートフォンの普及という技術変革により可能になった多様なデータの収集、分析をベースに金融と非金融のサービスを統合するプラットフォームが誕生したことに対し、データ・プライバシーを重視するカルチャーを持つ日本などでは、異なるFinTechの発展可能性があることを考察する。
カテゴリー Fintech
2021年11月5日
「楽天銀行の上場から考えるフィンテックの本質」
野間幹晴 一橋大学大学院経営管理研究科 教授
楽天銀行が株式上場の準備を開始した。楽天銀行は上場会社の楽天グループの孫会社であり、楽天カードの子会社である。一橋ビジネススクールは、ユニークな競争戦略で高い収益性を実現した企業や事業に「ポーター賞」を授与している。楽天銀行は、2020年度の授与企業である。戦略の独自性とフィンテックの観点から楽天銀行について考察したい。
カテゴリー Fintech
2021年10月22日
「サステナブルファイナンス原論」
藤井 健司 グローバルリスクアンドガバナンス合同会社 代表
自然災害の激甚化が続く中、国連は地球の気候変動が産業革命後の人間活動に起因するとし、地球温暖化が加速していると結論づけた。11月のCOP26会議では、先進国を中心にGHG排出削減目標の上乗せ等、サステナブルな社会に向けた議論が予想される。 サステナブルな世界を目指す中で、脱炭素社会に向けた資本と資金の円滑な移動を促す、サステナブルファイナンスに期待がかかる。金融庁のサステナブルファイナンス有識者会議が公表した報告書では、サステナブルファイナンスについての論点が網羅的に示されたが、今後それぞれの課題について具体的な肉付けを行う必要がある。 実行に当たっては課題も大きい。中でも、脱炭素社会に移行する過程で発生する「トランジションファイナンス」への対応は悩ましい。「クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針」では、企業自身によるトランジション戦略の策定と、その内容を金融機関が総合的に判断する必要性を示しているが、間接金融が主流の日本においては、銀行における新たな体制整備も不可欠である。今後の取り組みに向け、資源配分や人材育成等、社内の体制づくりが求められる。
カテゴリー サステナブルファイナンス
2021年10月8日
「正常化に向かう米国金融政策」
中曽 宏 株式会社大和総研 理事長
米国FRBパウエル議長は、8 月27日、カンザスシティ連銀が毎年ジャクソンホールで開催するシンポジウムで講演し、2021年内にテーパーリングを開始して金融政策の正常化に向かうことを示唆した。その後開催された9月のFOMCでもその方向性が確認された。本稿では、今後予想される米国の金融政策の正常化プロセスを整理したうえで、その留意点や内外金融市場に与えうる影響を考察する。
カテゴリー 金融政策
2021年10月8日
「Fintechの評価と課題」
池田 唯一
2014年頃にFintechの動きが始まってから既に7年が経過した。この間、制度的・基盤的な環境整備は相当程度進展し、取組みは、決済分野にとどまらず、融資、資産運用、保険等の分野にも広がりを見せている。しかし、その結果、実際の金融業・金融サービスがどれだけ改善、高度化したかというと、まだ十分とは言いにくいのではないか。これまでの成果を正しく評価し、今後に向けた課題を整理しておくことが重要であろう。
カテゴリー Fintech