二次利用について
2024年2月21日
ネットゼロに向けた金融の挑戦(下)
河野正道 三菱UFJ銀行 顧問
ネットゼロを支援するために必要とされる巨額の資金を供給するために、民間金融機関の様々な努力が国際的な連携のもとではじまっているが、政府の強力なリーダーシップにより、企業などによる信頼性の高いトランジション・プランの策定、トランジション・ファイナンスについてのガイダンスの策定、炭素市場の整備などが、国際的な整合性を確保しつつさらに進むことを期待する。
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2024年2月7日
ネットゼロに向けた金融の挑戦(上)
河野正道 三菱UFJ銀行 顧問
世界各国が温室効果ガスの排出量を削減し、カーボン・ニュートラル(CN)を達成するとともに、続発する被害への対応策を実施することが急務となっているが、そうした中で経済社会全体のCNへの公正で秩序立った移行(just and orderly transition)を金融面から支えていくことが喫緊かつ重要な課題となっている。特に、顧客企業などの脱炭素を資金面からサポートするトランジション・ファイナンスが果たすべき役割は大きい。
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2024年1月24日
TOB・大量保有報告制度等の見直し—待たれる会社法制面の検討
池田唯一 大和総研常務理事
 金融庁の金融審議会では専門のワーキング・グループ(WG)を設け、公開買付(TOB)制度・大量保有報告制度等のあり方について幅広い検討が行われてきたが、2023年12月にその検討結果がWGの報告書として取りまとめられた。公開買付制度と大量保有報告制度は、企業の買収等に関する証券取引法制の根幹をなすものだが、これらについては2006年に大幅な改正が行われた以降、大きな改正は行われて来なかった。今回の報告書を受けて、金融庁は、次期通常国会に金融商品取引法の改正案を提出すべく法案化の作業を進める方針だ。改正法が成立すれば、18年ぶりのまとまった改正となる。本稿では、報告書に盛り込まれた諸提言のうち、特に制度の骨格に関わると思われるものについて論じる。
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2024年1月11日
GX経済移行債(CT国債)の発行が日本経済回復のトリガーとなりうるか
中空麻奈 BNPパリバ証券
 グリーン・トランスフォーメーション(GX)経済移行債が、クライメート・トランジション(CT)国債として漸く発行されることになった。形式上の発行要件について、まずは概説する。通常の国債との共通点や相違点を考えるが、トランジション・ボンドという立て付けにしたことの功罪も問う。資金調達自体が目標ではないため、この集めた資金をうまく活かせるか、が最大の課題となる。その意味からもCT国債の動向に注意である。さらに、CT国債のポジティブ、ネガティブについてもまとめた。他国対比でどこまで資金をうまく活かし、水素やグリーンスチール、SAFなどの日本の強みを取り込んでいけるか、慎重に見守る必要がある。
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2023年12月6日
新NISAが歪める資産形成
前田昌孝 マーケットエッセンシャル主筆
少額投資非課税制度(NISA)の大幅な衣替えが目前に迫っている。株式や投資信託の売り手である金融機関にとっては待ちに待った大型税制だが、非課税対象の金融商品が偏り、リバランスがしにくいなど仕組み上の問題はなお多い。資産運用の基本についての教育もしないまま、個人マネーをとにかく動かせばいいといわんばかりのこの政策は、ちょっと乱暴ではないだろうか。
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2023年11月22日
国民には理解し難い「YCCの再修正」
水野温氏
10月の金融政策決定会合では「YCCの再修正」が決定された。主な意見をみると、政策委員会は今後も「YCCの枠組みは維持すべき」との合意形成がある。財政健全化の道筋がみえないためであろう。日銀は長期金利急騰を回避するため、国債買入れ縮小とマイナス金利政策の解除には慎重な姿勢か。ただ、「日銀はインフレ目標を達成しているにもかかわらず、放漫財政を下支えするために、物価高で家計を犠牲にしても金融緩和を継続している」と解釈されると、国民の信頼を失い、「期待に働きかける金融政策」ができなくなる。政府が物価高対策を行い、日銀は大規模緩和を通じて、政府と一緒にデフレ対策を行うユニークなポリシーミックスは、資産インフレや格差拡大を助長しかねない。
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2023年11月8日
YCC柔軟化では国債買入れ額に注目せよ
森本学 日本証券経済研究所 理事長
 日銀は、再びYCCを修正した。昨年12月の本格的YCC柔軟化から数えると既に三度目であり、日銀の苦心が偲ばれる。ただし、これまでのところ豪州準備銀行の様な市場混乱は起こしておらず、報道によれば日銀幹部も市場調節面では手応えを感じている模様である。筆者が接する財務省、金融庁の幹部も「長期金利は日銀がコントロールしているので心配していない(心配なのは為替だ)」と言う者が多い。一方で、この間、日銀の国債買入れ額は著増しており、YCCの金利操作対象である10年債は84%を日銀が保有するという買占め状態に至っている。YCCを柔軟化しているにも拘らず、それを維持するための量的介入はむしろ強化されている訳で、一種のパラドックス(市場関係者にとっては不思議ではないが)が生じている。本稿では、このようなYCC柔軟化の量的側面をどう考えるべきか、さらに、その今後の市場対応へのインプリケーションについて私見を述べることとしたい。
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2023年10月25日
スタートアップ投資拡大への制度改革
大崎貞和 野村総合研究所 主席研究員
2022年11月に策定された「スタートアップ育成5か年計画」では、第二の創業ブームを実現し、スタートアップへの投資を大幅に拡大することで時価総額1千億円超の未上場企業であるユニコーンを100社生み出すという目標が掲げられている。そのための施策の一つの柱であるスタートアップへの資金供給強化では、特定投資家向け銘柄制度の整備や未上場株式のPTS取引の解禁などが進められてきた。こうした制度が所期の効果を発揮するかどうかは、証券会社がそれらを活用するために個人顧客の特定投資家への移行を積極的に働きかけるかどうかによって左右されるだろう。
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2023年10月11日
地政学リスクと金融市場
井上哲也 野村総合研究所 金融デジタルビジネスリサーチ部 シニアチーフリサーチャー
地政学リスクは、金融市場に西側諸国による金融制裁、エネルギーや食糧の供給不安定化、戦略物資の確保の面で各々影響を与えている。第一の点では、対米非友好国による米ドル以外の決済手段の使用と長い目で見た国際通貨の地位への影響が注目される。第二の点では、国際商品価格を参照する金融商品の市場拡大の一方、ボラティリティ上昇による実物価格へのフィードバックにも注意すべきである。最後の三点目では、貿易金融や資産担保取引による供給源の囲い込みが金融ビジネスを拡大する一方、サプライチェーンファイナンスの活性化が気候変動対応にも役割を発揮することが展望される。
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2023年9月27日
ローン・コベナンツ開示の意義と今後の課題について—社債市場の活性化の観点から
西村淑子 日本証券業協会 自主規制本部 公社債・金融商品部長
去る6月、「重要な契約」の有価証券報告書や臨時報告書(有価証券報告書等)における開示の充実を図るべく、「企業内容等の開示に関する内閣府令(開示府令)」等の改正(案)が公表された。 本稿では「重要な契約」のうち、「ローン契約等に付される財務上の特約(コベナンツ)」に関し、制度改正に至るまでの経緯を振り返ったうえで、特に社債市場との関連での開示の意義、及び今後の課題について私見を述べることとしたい。
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