マドフ事件と投資者保護

マドフ事件と投資者保護

2008年に表面化したマドフ事件は、史上最大の金融詐欺と呼ばれ、SECをはじめとする規制機関や金融業界への信頼を大きく揺るがした事件であった。事件の首謀者、バーナード・L・マドフ(Bernard L. Madoff(1938.4.29 ~2021.4.14.))はNasdaq取引所の会長を務めるなど金融界の大物であり、その巨大なファンドに殆ど資金がないことが明らかになると、世界中に衝撃をもたらした。他方、その後の破産管財人たちの回収努力により、投資額の約7割が既に投資家に返還されていることも注目に値する。本稿では、こうしたマドフ事件の顛末とそれに関わる米国の投資家保護制度について私の理解を述べてみたい。
  
大久保良夫 日本投資者保護基金 理事長 著者経歴
 

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