今日の証券市場の論点―3.IPO制度(上)
一昨年夏、政府はその成長戦略において「公開価格の設定が低すぎるため、スタートアップの資金調達が不十分になっている」として、公開価格設定プロセスの見直しを求めた。これを受けて日証協のWGで検討が行われ、そこで取りまとめられた改善策が、現在、順次実施に移されている。
この公開価格の設定方法を含むIPO制度については、過去何度も問題点が指摘され制度改正が行われてきたが、一向に本質的解決に至らず、似たような議論・検討が繰り返されてきた様に見える。果たして今回は違うのだろうか?
筆者は、この問題の発端となったリクルート事件当時、偶々事案処理を担当していた。本稿では、その個人的体験を含め、IPO制度に関するこれまでの議論・検討を振り返るとともに、今回の改善策及び今後の目指すべき方向性について私見を述べることとしたい。