構造的円安論を再考する

構造的円安論を再考する

昨年、対米ドルで150円を超えた円安の背景には日本国内外での構造変化がある。日本の高齢化、生産性や輸出競争力の低下、グローバル化などがそれであり、貿易収支を主体に国際収支を悪化させやすくしている。資本勘定においても、テクノロジーの進化に伴って、本邦投資家のホーム・バイアスが低下するなどして、海外投資が増えやすくなっている。実質実効円相場が50年ぶりの低水準に下落する中、「悪い円安」論なども出てきているが、筆者はこの間の円安を長期的には自然なことだと捉えている。とは言え、購買力平価などで見て円安にやや行き過ぎ感があることも事実で、数年単位で考えれば、ドル円は120円を下回るような調整となってもおかしくないように思われる。今回のドル円に限った話ではないが、構造論と循環的な相場動向は切り離して考える必要がある。
  
高島修 シティグループ証券外国為替本部 チーフFXストラテジスト 著者経歴
 

本文を読むには

ログイン購読希望の方