地政学リスクと金融市場
地政学リスクは、金融市場に西側諸国による金融制裁、エネルギーや食糧の供給不安定化、戦略物資の確保の面で各々影響を与えている。第一の点では、対米非友好国による米ドル以外の決済手段の使用と長い目で見た国際通貨の地位への影響が注目される。第二の点では、国際商品価格を参照する金融商品の市場拡大の一方、ボラティリティ上昇による実物価格へのフィードバックにも注意すべきである。最後の三点目では、貿易金融や資産担保取引による供給源の囲い込みが金融ビジネスを拡大する一方、サプライチェーンファイナンスの活性化が気候変動対応にも役割を発揮することが展望される。