デフレ脱却と少子高齢化が同時に進行するなか、望まれる財政再建の方向性は何か
円安や労働力の減少に伴う人手不足による賃金上昇も反映し、日本経済は着実にデフレからインフレ経済に転換し始めている。このような状況のなか、金融政策の正常化で長期金利の上昇が本格化する前に、もう一段の財政再建を進めておく必要がある。財政再建の新たな目標も早急に検討すべきだが、その鍵を握るのが社会保障改革だ。子育てを担う現役世代の負担増を抑制するためにも、政府は2040年度・50年度までの社会保険料率の上昇幅に関する試算を早急に示した上で、「こども未来戦略」脚注27の趣旨も踏まえて、社会保険料率の全体に上限を定めることも検討すべきではないか。