国債依存の臨界点:歴史が示す日本の資金調達シナリオ

国債依存の臨界点:歴史が示す日本の資金調達シナリオ

 日本国債の利回り上昇や日銀の国債買入減額を背景に、政府資金調達の持続性に疑問が高まりつつある。そこで本稿では、その歴史的変遷を整理している。明治維新以来、政府は内国債・外国債・短期債・借入金を組み合わせて調達し、戦争や危機のたびに比率が変動してきた。特に内国債比率が9割に達すると、外国債や借入金へ転換する「臨界点」が繰り返し観察される。現状も9割近くにあり、一部の投資家は超長期国債の保有を敬遠し始めており、発行年限の短期化や短期債依存の高まりは不可避となりつつある。今後は借入金や非市場性国債の復活も視野に入る中、国債市場の行方と信用格付けが日本経済に大きな影響を及ぼすと論じる。
  
平山 賢一 麗澤大学経済学部教授/東京海上アセットマネジメント参与チーフストラテジスト 著者経歴
 

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