景気回復と両立する財政健全化の展望

景気回復と両立する財政健全化の展望

異次元緩和の最大の弊害は、財政規律の弛緩だ。膨張する公的債務は社会保障制度の持続可能性への疑念を強め、消費低迷をもたらしている。長期金利が急騰すると、経済と物価の安定が損なわれるため、日銀は長期金利の安定を図ろうとするが、それに成功すると、益々、財政の日銀頼みが強まる。政府は、日銀が事実上、公的債務管理に既に組み込まれていることを公に認めた上で、日銀の逆鞘リスクにコミットすべきだ。財政健全化については、潜在成長率の低迷を考慮すると、間隔を開けた小刻み消費増税が有効だ。2-3年に一度の0.5%増税なら、不況を回避しつつ、財政健全化が可能となる。逆進性対策としては、低所得者向けの社会保険料の引き下げが望ましい。
  
河野龍太郎 BNPパリバ証券株式会社 経済調査本部長チーフエコノミスト 著者経歴
 

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