気候関連情報開示の充実-CO2排出量削減策としての有効性
気候関連の企業情報開示の充実に向けて内外で開示ルールの整備が進められている。気候関連情報開示の充実がCO2排出量の削減につながる主たる経路としては、情報の開示を受けて投資家が企業のもたらす外部経済・不経済を内部化して企業評価を行い、それが株価等に反映されることで資源配分の適正化が図られ、企業の排出量削減に向けた行動が促される、といったことが想定される。その場合、開示された情報がどこまで企業評価に織り込まれるのかが重要な問題になるが、日本市場の現況に照らすと、少なくとも当初の段階で企業評価に織り込まれる情報はかなり限られたものになることが危惧される。開示情報が適切に企業評価に反映され、CO2排出量の削減につながっていくためには、2050年のネットゼロに向けた国全体としての具体的な道筋の明確化など、他の施策の追随が不可欠となる。