TOB・大量保有報告制度等の見直し—待たれる会社法制面の検討
金融庁の金融審議会では専門のワーキング・グループ(WG)を設け、公開買付(TOB)制度・大量保有報告制度等のあり方について幅広い検討が行われてきたが、2023年12月にその検討結果がWGの報告書として取りまとめられた。公開買付制度と大量保有報告制度は、企業の買収等に関する証券取引法制の根幹をなすものだが、これらについては2006年に大幅な改正が行われた以降、大きな改正は行われて来なかった。今回の報告書を受けて、金融庁は、次期通常国会に金融商品取引法の改正案を提出すべく法案化の作業を進める方針だ。改正法が成立すれば、18年ぶりのまとまった改正となる。本稿では、報告書に盛り込まれた諸提言のうち、特に制度の骨格に関わると思われるものについて論じる。