三菱UFJ事案の本質(下)―投資家・市場への眼差しを欠く総合金融サービス論は危険―
本年6月の三菱UFJ事案の処分理由は、概ね、(1)顧客情報の不適切な共有、(2)銀行に許されない証券業務の実行、の二つである。(下)で論ずる(2)は、本来は銀行・証券業務に跨る不適切行為なのであるが、この問題には様々な切り口・視点があり、処分理由ではその一部だけが表れているため、根本原因が見えづらくなっている。本稿では、本事案の行間、余白を読むことにより、その根本原因の輪郭を描くとともに、この問題の解決の方向性について私見を述べることとしたい。