| 2026年4月1日 | |
| 会計基準を変えるリスク | |
| 前田昌孝 マーケットエッセンシャル主筆 | |
| 日本では税制にしても会計基準にしても、長期的な影響を二の次にして、そのときどきの都合で安易に変更しているのではないかと見受けられることがある。足元では生命保険会社が保有する超長期国債の市場価格が帳簿価格から50%以上下落しても、減損処理を不要とするルール変更が実施されようとしている。ご都合主義の変更が相次げば、一般の投資家は何が企業の本当の経営実態なのかわからなくなる。 | |
| カテゴリー 金融資本市場 | |
| 2026年3月18日 | |
| 日本証券業協会の社債市場活性化に向けた取組み―社債管理・コベナンツ付与 | |
| 松本昌男 日本証券業協会常務執行役・自主規制本部長 | |
| 我が国企業の資金調達手法は歴史的に間接金融が主体であるが、2024年3月の日本銀行によるマイナス金利政策終了の公表後、金利環境の変化が生じ始めており、社債市場について検討を深めることの重要性が増してきている。 日本証券業協会においては、2009年7月に「社債市場の活性化に関する懇談会」を設置して以来、社債市場の改善に向けた種々の取組みを行っているが、本稿では、信用リスクが相対的に大きい企業の社債発行に向けた最近の取組み例として、社債管理とコベナンツ付与に関する取組みを紹介したい。 |
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| カテゴリー 金融資本市場 | |
| 2026年3月4日 | |
| AIガバナンスの最前線(下)―各国の制度比較から見える日本の戦略 | |
| 羽深宏樹 京都大学法学研究科特任教授 | |
| AIが社会の前提を高速で書き換えるなか、安全にAIを活用するための「AIガバナンス」の必要性が高まっている。専門家の羽深宏樹弁護士に話を聞いた。前編では、アジャイルガバナンスの基本的な考え方について整理した。後編では、各国の制度比較を通じて、日本の立ち位置と今後の戦略を考える。日本はAI活用を後押ししつつ、包括規制を設けず既存法を軸にガバナンスを進めている。EUはAIの利用目的に応じて段階的な義務や禁止を課す包括的なAI法を導入し、米国は州法と企業の実証を軸に制度を作ってきた。AI主権をめぐっては、半導体やデータ、サービスなどのレイヤーを戦略的に組み合わせることが重要であり、日本型アプローチは国際的にも注目されている。(聞き手/編集委員 大崎貞和) | |
| カテゴリー 金融資本市場 | |
| 2026年2月18日 | |
| 企業開示制度の見直し―見直し後の状況を踏まえて継続的な検討を | |
| 池田唯一 大和総研専務理事 | |
| 2025年12月、金融庁の金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ(WG)が報告書を公表した。スタートアップ等の資金調達ニーズの高まり、サステナビリティ情報その他の非財務情報の開示の充実など、金融商品取引法上の企業開示をめぐる環境の変化を踏まえ、報告書は、①有価証券届出書の提出免除基準の引上げ、②特定投資家私募制度における勧誘対象範囲の拡大、③株式報酬にかかる開示規制の見直し、④非財務情報の開示にかかる虚偽記載等に関する責任の範囲の明確化(セーフハーバー・ルールの導入)を提言する。金融庁は、提言の内容を踏まえて制度の整備を進め、国会に金融商品取引法の改正案を提出する方針だ。提言は、直面する課題への対応として、おおむね妥当な結論と考えられるが、WGでは、項目によって、より踏み込んだ検討を求める意見も出された。今回の制度見直し後の状況を検証しながら、継続的に検討を行っていくことが求められるだろう。 | |
| カテゴリー 金融資本市場 | |
| 2026年2月4日 | |
| AIガバナンスの最前線(上)―アジャイルガバナンスとは何か | |
| 羽深宏樹 京都大学法学研究科特任教授 | |
| AIが社会の前提を急速に書き換えるなか、安全にAIを活用するための「AIガバナンス」の必要性が高まっている。日本では25年9月にAI推進法が全面施行されたが、実効性の面で課題は多い。専門家の羽深宏樹弁護士に話を聞いた。前編では「アジャイルガバナンス」の基本的な考え方を整理する。アジャイルガバナンスとは、変化の激しい環境を前提にガバナンスのPDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルを迅速に回す考え方だ。AI時代には、法律はゴールや原則を示すものにとどめ、ガイドラインや必要に応じた制裁を組み合わせて運用することが重要となる。また、従来の過失責任の考え方が適用しにくくなるなか、新たな責任と規制の枠組みが求められている。(聞き手/編集委員 大崎貞和) | |
| カテゴリー 金融資本市場 | |
| 2026年1月21日 | |
| 日本のスタートアップエコシステムへの期待 | |
| 勝又幹英 INCJ前代表取締役社長 | |
| 2002年から大学でプライベートエクイティを教え、民間VCの社長としてVC実務を経験し、2015年から産業革新機構社長として144件の投資を行った。現在はスタートアップやVCへの助言を行い、大学でも講義を担当している。日本のVCにはファンドの長期化、資本政策の高度化、専門性向上、EXIT戦略の事前設計が求められる。一方スタートアップには、投資家視点を踏まえた資料作成や財務リテラシー向上が必要である。また、アカデミアでの起業家教育は、既に起業を志向している者向けだけでなく、一般学生への“種まき”として広く提供され、その際にVCについての教育も併せて教育されるべきだと提言している。 | |
| カテゴリー 金融資本市場 | |
| 2026年1月7日 | |
| 金利上昇局面で進行する銀行店舗戦略の軌道修正 | |
| 杉山敏啓 日本大学経済学部教授 | |
| 金利規制が敷かれていた時代、銀行業は預金残高を拡大すれば相応の利ざやが得られたため、銀行経営では「規模の成長力」が重視された。そのためには立地条件が良い店舗網を持つ必要があり、金融機関の出店意欲は旺盛であった。1994年10月に預金金利が完全自由化された頃、奇しくも銀行業の国内有人店舗数は歴史的ピークに至った。以降、店舗数は30年近く減少基調を辿った。金融再編、不良債権問題、低金利環境などを背景にリストラの時代が続いたからだ。近年では久しぶりに金利上昇局面が到来し、大手銀行が軽量タイプの新形態店舗を出店するなど、銀行業のリアル店舗戦略に軌道修正の動きがみられる。 | |
| カテゴリー 金融資本市場 | |
| 2025年12月24日 | |
| 金利差から乖離したドル円相場に関する考察 | |
| 内田稔 高千穂大学商学部教授 | |
| 為替相場の分析において、金利差は重要な手掛かりである。しかし、2025年半ば以降、ドル円は日米金利差と逆行して上昇しており、乖離も拡大している。ただ、ドルは複数の要因から下押し圧力を受けており、この金利差とドル円の乖離は主に円安によるものと考えられる。円安の背景に、大幅なマイナス圏にとどまっている実質金利と財政悪化を懸念したタームプレミアムの拡大が挙げられる。こうした円安からの脱却には、日銀の追加利上げとインフレの収束による実質金利の上昇や日銀の量の正常化ペースの鈍化によるタームプレミアム拡大の抑制などが考えられる。 | |
| カテゴリー 金融資本市場 | |
| 2025年12月10日 | |
| 「護送船団方式」の医療に終止符を | |
| 伊藤由希子 慶應義塾大学大学院商学研究科教授 | |
| 今月下旬、来年度の診療報酬改定改定率が、年末の予算編成過程に合わせて決定される。加えて、先月下旬には補正予算として「医療・介護等支援パッケージ」1.4兆円が示されている。いずれも政策の中核となるのは、「医療機関等が資金繰り悪化等により、必要な医療サービスが継続できない事態は避けなければならない」(12月8日の診療報酬改定の基本方針案)という考えである。筆者もまた「必要な医療」を国が守ること自体に異論はない。しかし、肝心な「必要な医療」が何かを定めぬまま、全ての医療機関を同じように扱うことになる診療報酬単価の改定や、1床あたり20万円といった一律の支援は、かつての金融機関で見られた護送船団方式そのものだ。 | |
| カテゴリー 金融資本市場 | |
| 2025年11月26日 | |
| トランプ政権下で進む米国の暗号資産規制の転換 | |
| 大崎貞和 野村総合研究所主席研究員 | |
| 米国では、ビットコインなどの暗号資産の取引を証券法によって規制するSECの強硬な姿勢が業界の強い反発を呼んできた。第二期トランプ政権は、そうした政策を否定し、米国を暗号資産分野における世界の首都にするとして、SECによる規制の大幅な転換と法整備を進めている。 | |
| カテゴリー 金融資本市場 | |