| 2026年9月30日 | |
| IPO市場の活性化を目指す米国 | |
| 大崎貞和 野村総合研究所主席研究員 | |
| 米国SECのポール・アトキンス委員長が、「IPOを再び偉大に」というスローガンを掲げて情報開示制度の見直しに乗り出した。2026年5月には、①四半期開示の任意化、②参照方式の利用適格要件の緩和、③法定開示書類の提出者区分の見直し、に関する三つの規則案が公表された。今後の展開が注目されているが、これらの規則改正が実現しても、直ちにIPOの活性化につながるとは考えにくいだろう。 | |
| カテゴリー 金融資本市場 | |
| 2026年9月16日 | |
| 拡大が期待される非上場株取引 | |
| 大崎貞和 野村総合研究所主席研究員 | |
| 2026年6月、日本証券業協会(以下「日証協」)の規則改正で、証券会社による非上場株など店頭有価証券の顧客に対する投資勧誘について、原則的に禁止するという従来の規制から、一定の取引制度に基づき勧誘・取引を行う規制へという歴史的な政策転換が実現した。この背景には、日本には非上場のまま大きな成長を遂げるユニコーン企業が少ないという問題意識がある。新たな規制体系の下で、ユニコーン企業育成の鍵となることが期待される制度が、特定投資家向け銘柄制度(J-Ships)である。特定投資家に移行できる個人の範囲拡大や、特定投資家への移行要件を満たした潜在的特定投資家への特定投資家向け銘柄の勧誘容認といった規制改革が進んでいるが、制度そのものの周知や証券会社による積極的な働きかけ、スタートアップ企業の意識向上など、解決すべき課題は多い。 | |
| カテゴリー 金融資本市場 | |
| 2026年9月2日 | |
| コーポレートガバナンス・コードを用いた改革の限界と今後の留意点 | |
| 池田唯一 大和総研専務理事 | |
| 今回のコーポレートガバナンス・コードの改訂によって、当初眼目とされたコードのスリム化が看板通りに実現したとは言い難いが、同時に、今回の改訂で何か新たな要素が大きく付け加わったということでもなさそうだ。これは、コードの改訂を通じてコーポレートガバナンス改革を推進していくというこれまでの手法に限界が来ていることの証左ではないか。今後のコーポレートガバナンス改革のあり方について考えていく上では、単純にこれまでの延長線上で考えるのではなく、改革を取り巻く環境の変化を十分に踏まえていくことが必要となる。コーポレートガバナンスの向上は引き続き重要な課題となろうが、その中で当局に求められる役割は、次第にこれまでとは異なったものとなってくるだろう。 | |
| カテゴリー 金融資本市場 | |
| 2026年8月19日 | |
| サステナビリティ経営を支えるガバナンスの進展 | |
| 根本直子 早稲田大学大学院経営管理研究科教授 | |
| 近年、コーポレートガバナンスは、株主中心主義から、顧客、従業員、地域社会など幅広いステークホルダーの利益のバランスを重視する方向へと変化している。しかし、多様なステークホルダー間の利害をどのように調整し、バランスを実現するかは容易ではなく、取締役会にとって新たな課題となっている。本レポートでは、上場企業におけるサステナビリティ経営を支えるガバナンス体制の整備状況を定量的に分析した。その結果、ガバナンス体制は着実に進展していることが確認された。ただし、この進展は情報開示の義務化による影響を受けている可能性もあるため、実際に企業行動の変化や企業価値の向上につながっているかについては、今後さらに検証する必要がある。 | |
| カテゴリー 金融資本市場 | |
| 2026年8月5日 | |
| 資産の高齢化と認知機能低下 | |
| 駒村康平 慶應義塾大学経済学部教授 | |
| 寿命の伸長により、日本はすでに「人生90年時代」に入っている。長寿社会では、若年期から高齢期まで長期にわたる資産管理・運用が必要になる。他方、後期高齢期には、多くの人が加齢に伴う認知機能の低下を経験する。認知症またはMCI(軽度認知障害)の高齢者はすでに約1,000万人に達し、筆者の推計では約260兆円の金融資産を保有する。認知機能の低下は、高齢者本人だけではなく、金融市場やマクロ経済にも大きな影響を与える。金融機関が高齢顧客の認知機能を把握することは容易ではない。このため、年齢が認知機能の状態をある程度反映すると考え、年齢を基準とする特別な取扱いが導入されている。しかし、認知機能の状態にかかわらず年齢だけで高齢顧客への対応を決めることには、コストと限界がある。今後増える高齢者の中心は75歳以上であり、資産運用に事実上の制限がかかる顧客も増加する。ここに、高齢者の取引理解の状況を把握するAIツールを活用する余地がある。金融分野で生成AIを含むAIの利用が広がるなか、高齢顧客への対応においても、人間の判断を支援するAIツールの実装を検討する必要がある。 | |
| カテゴリー 金融資本市場 | |
| 2026年7月29日 | |
| 証券会社の破綻処理と投資者保護 | |
| 大久保良夫 日本投資者保護基金前理事長 | |
| 投資者保護基金制度は証券会社の破綻処理制度の一環として整備されてきた。証券会社の場合、顧客資産の分別管理が適切に行われていれば、顧客資産は会社財産から切り離されて保護される。投資者保護基金制度は証券会社の破綻の際に分別管理が不適切であったために顧客資産が返還できない場合に、一定限度で補償を行う制度である。欧米では投資者保護基金制度が倒産手続やレシーバー制度と密接に連動して運営されている。このたびの金融商品取引法改正に伴う顧客財産管理人制度の導入により、日本でも登録取消しや廃業時において顧客財産の一層迅速な保全・返還が可能となることが期待される。 | |
| カテゴリー 金融資本市場 | |
| 2026年7月22日 | |
| 「永久先物」は、有望な取引仕法か | |
| 森本学 日本証券経済研究所理事長 | |
| CFTC(米国商品先物取引委員会)は、本年5月末に、規制市場(商品先物取引所)にビットコイン「永久先物」の上場を認可した。「永久先物」は、これまで、暗号資産交換業者がその取引を提供していたが、規制市場に上場されるのは初めてである。また、CFTCは同時に政策文書を公表し、その中で、永久先物の個別株式や株価指数への適用可能性について言及した。このため、株式市場では、既存の取引所の経営への懸念から、米国の大手取引所グループ(CME、ICE、Cboe)の株価は大幅に(7~15%)下落した。 果たして、「永久先物」はどれほど有望な取引仕法なのだろうか。本稿では、「永久先物」が、これまでのデリバティブ取引と何が異なり、何に似ているのかを解説するとともに、その可能性、有効性について私見を述べることとしたい。 |
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| カテゴリー 金融資本市場 | |
| 2026年7月8日 | |
| 日経平均の歪みの正体 | |
| 前田昌孝 マーケットエッセンシャル主筆 | |
| 日経平均株価は株価指数として歪んでいるといわれるが、その歪みをもたらしている主因は銘柄構成の顔ぶれではなく、独特の計算方法である。米国のダウ平均のように構成銘柄に等株数投資をすれば運用成果が指数と同じになることが理想だが、時間が掛かっても実現できないだろうか。何が課題か改めて考えてみたい。 | |
| カテゴリー 金融資本市場 | |
| 2026年6月24日 | |
| 運用会社の議決権行使の在り方 | |
| 堀江貞之 日本証券経済研究所特任研究員 | |
| 運用会社がスチュワードシップ責任を果たすためには、アクティブ運用がエンゲージメント(投資先企業との目的を持った対話)の主役となり、パッシブ運用は、経営規律を高めるため、企業価値もしくは株主価値に直結する議決権行使基準に従った行使を行うという、役割分担をすることが望ましい。アクティブ・パッシブ運用の両方を行っている運用会社は、投資目的の異なる投資戦略ごとに議決権行使を個別に行使することが各投資戦略の顧客の意向に沿った対応になる。海外では投資戦略に応じて議決権を区分して行使するケースが始まっており、日系運用会社においても検討すべきではないか。 | |
| カテゴリー 金融資本市場 | |
| 2026年6月10日 | |
| 1県1行から、県域を越えた地銀再編は必至―両翼体制の構築が地域銀行と地域の持続的な発展を実現(下) | |
| 飯塚徹 松本大学松商短期大学部教授 | |
| 前編で述べたとおり、地域金融機関には幅広く金融仲介機能を担い地域経済に貢献する「地域金融力」の発揮が期待される(「地域金融力強化プラン」)。地域銀行は、地域・顧客のニーズや自行のビジネスモデル・経営戦略に沿って、顧客への付加価値の高い支援と収益基盤の強化を両立することが求められる。地域金融力発揮のためには、財務的な余裕が必要となる。 そのためには、地域の「適正な規模」を維持し、十分な経営体力・収益基盤を自ら確保することが求められる。実現のための方策として、「顧客部門」と「市場部門」の両翼エンジンを稼働する経営体制、金融当局の役割を提言する。経営環境に応じた最適な両翼体制のバランス設計が重要となる。 |
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