二次利用について
2026年6月24日
運用会社の議決権行使の在り方
堀江貞之 日本証券経済研究所特任研究員
 運用会社がスチュワードシップ責任を果たすためには、アクティブ運用がエンゲージメント(投資先企業との目的を持った対話)の主役となり、パッシブ運用は、経営規律を高めるため、企業価値もしくは株主価値に直結する議決権行使基準に従った行使を行うという、役割分担をすることが望ましい。アクティブ・パッシブ運用の両方を行っている運用会社は、投資目的の異なる投資戦略ごとに議決権行使を個別に行使することが各投資戦略の顧客の意向に沿った対応になる。海外では投資戦略に応じて議決権を区分して行使するケースが始まっており、日系運用会社においても検討すべきではないか。
カテゴリー 金融資本市場
2026年6月10日
1県1行から、県域を越えた地銀再編は必至―両翼体制の構築が地域銀行と地域の持続的な発展を実現(下)
飯塚徹 松本大学松商短期大学部教授
 前編で述べたとおり、地域金融機関には幅広く金融仲介機能を担い地域経済に貢献する「地域金融力」の発揮が期待される(「地域金融力強化プラン」)。地域銀行は、地域・顧客のニーズや自行のビジネスモデル・経営戦略に沿って、顧客への付加価値の高い支援と収益基盤の強化を両立することが求められる。地域金融力発揮のためには、財務的な余裕が必要となる。
 そのためには、地域の「適正な規模」を維持し、十分な経営体力・収益基盤を自ら確保することが求められる。実現のための方策として、「顧客部門」と「市場部門」の両翼エンジンを稼働する経営体制、金融当局の役割を提言する。経営環境に応じた最適な両翼体制のバランス設計が重要となる。
カテゴリー 金融資本市場
2026年5月27日
1県1行から、県域を越えた地銀再編は必至―両翼体制の構築が地域銀行と地域の持続的な発展を実現(上)
飯塚徹 松本大学松商短期大学部教授
 人口急減のなか、県内の地域銀行の合併が展開されている。近未来には、「1県1行」の次フェーズである府県を跨いだ広域の再編が予測される。一方、「地域金融力強化プラン」(2025年12月)で示されたように、地域金融機関には幅広く金融仲介機能を担い地域経済に貢献する「地域金融力」の発揮が求められる。地域銀行は、広域の再編過程で、「地域金融力」の源泉となる、地域企業の価値向上への貢献・地域課題の解決を図ることが期待される。本稿では、実現に向けた方策、金融当局の役割を考察する。
 前編では、再編の背景と状況を整理し、県域を越えた再編は必至であること、金融当局の施策、地域金融機関に求められる役割と課題について述べる。
カテゴリー 金融資本市場
2026年5月13日
CGコード3回目の改訂案をどうみるか
富永誠一 日本コーポレート・ガバナンス・ネットワーク執行役員リサーチフェロー
 4月10日に公表された3回目のコーポレートガバナンス・コード(以下「CGコード」)の改訂案について、20年以上にわたってガバナンスのトレンドウォッチャーを続けてきた立場から所感を述べる。コードの改訂案が示されるまでのプロセス、第1回有識者会議の事務局説明資料で示された、「コードのスリム化/プリンシプル化」、「経営資源の適切な配分の検証・説明責任の明確化」、「価証券報告書の定時株主総会前の開示」、「取締役会事務局の機能強化」および独立社外取締役の役割・責務および実効性について、先進的な独立社外取締役と取締役会事務局をサポートしてきた経験から解説する。
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2026年4月15日
最近の会計不祥事からの気付き
佐々木清隆 一橋大学大学院客員教授
 最近オルツ、ニデック、KDDI等、不正会計が増加している。かつてのカネボウ、ライブドア、エフオーアイ、オリンパス、東芝等の不正会計の調査等に関与した立場からはdeja vue(既視感)のことばかりである。
 不正会計が起きる都度対応策が講じられてきているが、重要なのは、①ルールの整備と併せてルールが目指すリスクについて自分の頭で考えること、②ビジネスモデルの変化に対応した3線管理、特に第2線(リスク管理・コンプライアンス)と第3線(内部監査)を一体として整備することとそのための取締役会・経営陣によるガバナンス、そして③当局による事後対応だけでなく未然予防のために市場参加者、ステークホルダー全体の市場規律の強化である。
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2026年4月1日
会計基準を変えるリスク
前田昌孝 マーケットエッセンシャル主筆
 日本では税制にしても会計基準にしても、長期的な影響を二の次にして、そのときどきの都合で安易に変更しているのではないかと見受けられることがある。足元では生命保険会社が保有する超長期国債の市場価格が帳簿価格から50%以上下落しても、減損処理を不要とするルール変更が実施されようとしている。ご都合主義の変更が相次げば、一般の投資家は何が企業の本当の経営実態なのかわからなくなる。
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2026年3月18日
日本証券業協会の社債市場活性化に向けた取組み―社債管理・コベナンツ付与
松本昌男 日本証券業協会常務執行役・自主規制本部長
 我が国企業の資金調達手法は歴史的に間接金融が主体であるが、2024年3月の日本銀行によるマイナス金利政策終了の公表後、金利環境の変化が生じ始めており、社債市場について検討を深めることの重要性が増してきている。
 日本証券業協会においては、2009年7月に「社債市場の活性化に関する懇談会」を設置して以来、社債市場の改善に向けた種々の取組みを行っているが、本稿では、信用リスクが相対的に大きい企業の社債発行に向けた最近の取組み例として、社債管理とコベナンツ付与に関する取組みを紹介したい。
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2026年3月4日
AIガバナンスの最前線(下)―各国の制度比較から見える日本の戦略
羽深宏樹 京都大学法学研究科特任教授
 AIが社会の前提を高速で書き換えるなか、安全にAIを活用するための「AIガバナンス」の必要性が高まっている。専門家の羽深宏樹弁護士に話を聞いた。前編では、アジャイルガバナンスの基本的な考え方について整理した。後編では、各国の制度比較を通じて、日本の立ち位置と今後の戦略を考える。日本はAI活用を後押ししつつ、包括規制を設けず既存法を軸にガバナンスを進めている。EUはAIの利用目的に応じて段階的な義務や禁止を課す包括的なAI法を導入し、米国は州法と企業の実証を軸に制度を作ってきた。AI主権をめぐっては、半導体やデータ、サービスなどのレイヤーを戦略的に組み合わせることが重要であり、日本型アプローチは国際的にも注目されている。(聞き手/編集委員 大崎貞和)
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2026年2月18日
企業開示制度の見直し―見直し後の状況を踏まえて継続的な検討を
池田唯一 大和総研専務理事
 2025年12月、金融庁の金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ(WG)が報告書を公表した。スタートアップ等の資金調達ニーズの高まり、サステナビリティ情報その他の非財務情報の開示の充実など、金融商品取引法上の企業開示をめぐる環境の変化を踏まえ、報告書は、①有価証券届出書の提出免除基準の引上げ、②特定投資家私募制度における勧誘対象範囲の拡大、③株式報酬にかかる開示規制の見直し、④非財務情報の開示にかかる虚偽記載等に関する責任の範囲の明確化(セーフハーバー・ルールの導入)を提言する。金融庁は、提言の内容を踏まえて制度の整備を進め、国会に金融商品取引法の改正案を提出する方針だ。提言は、直面する課題への対応として、おおむね妥当な結論と考えられるが、WGでは、項目によって、より踏み込んだ検討を求める意見も出された。今回の制度見直し後の状況を検証しながら、継続的に検討を行っていくことが求められるだろう。
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2026年2月4日
AIガバナンスの最前線(上)―アジャイルガバナンスとは何か
羽深宏樹 京都大学法学研究科特任教授
 AIが社会の前提を急速に書き換えるなか、安全にAIを活用するための「AIガバナンス」の必要性が高まっている。日本では25年9月にAI推進法が全面施行されたが、実効性の面で課題は多い。専門家の羽深宏樹弁護士に話を聞いた。前編では「アジャイルガバナンス」の基本的な考え方を整理する。アジャイルガバナンスとは、変化の激しい環境を前提にガバナンスのPDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルを迅速に回す考え方だ。AI時代には、法律はゴールや原則を示すものにとどめ、ガイドラインや必要に応じた制裁を組み合わせて運用することが重要となる。また、従来の過失責任の考え方が適用しにくくなるなか、新たな責任と規制の枠組みが求められている。(聞き手/編集委員 大崎貞和)
カテゴリー 金融資本市場