| 2026年8月5日 | |
| 資産の高齢化と認知機能低下 | |
| 駒村康平 慶應義塾大学経済学部教授 | |
| 寿命の伸長により、日本はすでに「人生90年時代」に入っている。長寿社会では、若年期から高齢期まで長期にわたる資産管理・運用が必要になる。他方、後期高齢期には、多くの人が加齢に伴う認知機能の低下を経験する。認知症またはMCI(軽度認知障害)の高齢者はすでに約1,000万人に達し、筆者の推計では約260兆円の金融資産を保有する。認知機能の低下は、高齢者本人だけではなく、金融市場やマクロ経済にも大きな影響を与える。金融機関が高齢顧客の認知機能を把握することは容易ではない。このため、年齢が認知機能の状態をある程度反映すると考え、年齢を基準とする特別な取扱いが導入されている。しかし、認知機能の状態にかかわらず年齢だけで高齢顧客への対応を決めることには、コストと限界がある。今後増える高齢者の中心は75歳以上であり、資産運用に事実上の制限がかかる顧客も増加する。ここに、高齢者の取引理解の状況を把握するAIツールを活用する余地がある。金融分野で生成AIを含むAIの利用が広がるなか、高齢顧客への対応においても、人間の判断を支援するAIツールの実装を検討する必要がある。 | |
| カテゴリー 金融資本市場 | |
| 2026年7月29日 | |
| 証券会社の破綻処理と投資者保護 | |
| 大久保良夫 日本投資者保護基金前理事長 | |
| 投資者保護基金制度は証券会社の破綻処理制度の一環として整備されてきた。証券会社の場合、顧客資産の分別管理が適切に行われていれば、顧客資産は会社財産から切り離されて保護される。投資者保護基金制度は証券会社の破綻の際に分別管理が不適切であったために顧客資産が返還できない場合に、一定限度で補償を行う制度である。欧米では投資者保護基金制度が倒産手続やレシーバー制度と密接に連動して運営されている。このたびの金融商品取引法改正に伴う顧客財産管理人制度の導入により、日本でも登録取消しや廃業時において顧客財産の一層迅速な保全・返還が可能となることが期待される。 | |
| カテゴリー 金融資本市場 | |
| 2026年7月22日 | |
| 「永久先物」は、有望な取引仕法か | |
| 森本学 日本証券経済研究所理事長 | |
| CFTC(米国商品先物取引委員会)は、本年5月末に、規制市場(商品先物取引所)にビットコイン「永久先物」の上場を認可した。「永久先物」は、これまで、暗号資産交換業者がその取引を提供していたが、規制市場に上場されるのは初めてである。また、CFTCは同時に政策文書を公表し、その中で、永久先物の個別株式や株価指数への適用可能性について言及した。このため、株式市場では、既存の取引所の経営への懸念から、米国の大手取引所グループ(CME、ICE、Cboe)の株価は大幅に(7~15%)下落した。 果たして、「永久先物」はどれほど有望な取引仕法なのだろうか。本稿では、「永久先物」が、これまでのデリバティブ取引と何が異なり、何に似ているのかを解説するとともに、その可能性、有効性について私見を述べることとしたい。 |
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| カテゴリー 金融資本市場 | |
| 2026年7月8日 | |
| 日経平均の歪みの正体 | |
| 前田昌孝 マーケットエッセンシャル主筆 | |
| 日経平均株価は株価指数として歪んでいるといわれるが、その歪みをもたらしている主因は銘柄構成の顔ぶれではなく、独特の計算方法である。米国のダウ平均のように構成銘柄に等株数投資をすれば運用成果が指数と同じになることが理想だが、時間が掛かっても実現できないだろうか。何が課題か改めて考えてみたい。 | |
| カテゴリー 金融資本市場 | |
| 2026年6月24日 | |
| 運用会社の議決権行使の在り方 | |
| 堀江貞之 日本証券経済研究所特任研究員 | |
| 運用会社がスチュワードシップ責任を果たすためには、アクティブ運用がエンゲージメント(投資先企業との目的を持った対話)の主役となり、パッシブ運用は、経営規律を高めるため、企業価値もしくは株主価値に直結する議決権行使基準に従った行使を行うという、役割分担をすることが望ましい。アクティブ・パッシブ運用の両方を行っている運用会社は、投資目的の異なる投資戦略ごとに議決権行使を個別に行使することが各投資戦略の顧客の意向に沿った対応になる。海外では投資戦略に応じて議決権を区分して行使するケースが始まっており、日系運用会社においても検討すべきではないか。 | |
| カテゴリー 金融資本市場 | |
| 2026年6月10日 | |
| 1県1行から、県域を越えた地銀再編は必至―両翼体制の構築が地域銀行と地域の持続的な発展を実現(下) | |
| 飯塚徹 松本大学松商短期大学部教授 | |
| 前編で述べたとおり、地域金融機関には幅広く金融仲介機能を担い地域経済に貢献する「地域金融力」の発揮が期待される(「地域金融力強化プラン」)。地域銀行は、地域・顧客のニーズや自行のビジネスモデル・経営戦略に沿って、顧客への付加価値の高い支援と収益基盤の強化を両立することが求められる。地域金融力発揮のためには、財務的な余裕が必要となる。 そのためには、地域の「適正な規模」を維持し、十分な経営体力・収益基盤を自ら確保することが求められる。実現のための方策として、「顧客部門」と「市場部門」の両翼エンジンを稼働する経営体制、金融当局の役割を提言する。経営環境に応じた最適な両翼体制のバランス設計が重要となる。 |
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| カテゴリー 金融資本市場 | |
| 2026年5月27日 | |
| 1県1行から、県域を越えた地銀再編は必至―両翼体制の構築が地域銀行と地域の持続的な発展を実現(上) | |
| 飯塚徹 松本大学松商短期大学部教授 | |
| 人口急減のなか、県内の地域銀行の合併が展開されている。近未来には、「1県1行」の次フェーズである府県を跨いだ広域の再編が予測される。一方、「地域金融力強化プラン」(2025年12月)で示されたように、地域金融機関には幅広く金融仲介機能を担い地域経済に貢献する「地域金融力」の発揮が求められる。地域銀行は、広域の再編過程で、「地域金融力」の源泉となる、地域企業の価値向上への貢献・地域課題の解決を図ることが期待される。本稿では、実現に向けた方策、金融当局の役割を考察する。 前編では、再編の背景と状況を整理し、県域を越えた再編は必至であること、金融当局の施策、地域金融機関に求められる役割と課題について述べる。 |
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| カテゴリー 金融資本市場 | |
| 2026年5月13日 | |
| CGコード3回目の改訂案をどうみるか | |
| 富永誠一 日本コーポレート・ガバナンス・ネットワーク執行役員リサーチフェロー | |
| 4月10日に公表された3回目のコーポレートガバナンス・コード(以下「CGコード」)の改訂案について、20年以上にわたってガバナンスのトレンドウォッチャーを続けてきた立場から所感を述べる。コードの改訂案が示されるまでのプロセス、第1回有識者会議の事務局説明資料で示された、「コードのスリム化/プリンシプル化」、「経営資源の適切な配分の検証・説明責任の明確化」、「価証券報告書の定時株主総会前の開示」、「取締役会事務局の機能強化」および独立社外取締役の役割・責務および実効性について、先進的な独立社外取締役と取締役会事務局をサポートしてきた経験から解説する。 | |
| カテゴリー 金融資本市場 | |
| 2026年4月15日 | |
| 最近の会計不祥事からの気付き | |
| 佐々木清隆 一橋大学大学院客員教授 | |
| 最近オルツ、ニデック、KDDI等、不正会計が増加している。かつてのカネボウ、ライブドア、エフオーアイ、オリンパス、東芝等の不正会計の調査等に関与した立場からはdeja vue(既視感)のことばかりである。 不正会計が起きる都度対応策が講じられてきているが、重要なのは、①ルールの整備と併せてルールが目指すリスクについて自分の頭で考えること、②ビジネスモデルの変化に対応した3線管理、特に第2線(リスク管理・コンプライアンス)と第3線(内部監査)を一体として整備することとそのための取締役会・経営陣によるガバナンス、そして③当局による事後対応だけでなく未然予防のために市場参加者、ステークホルダー全体の市場規律の強化である。 |
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| カテゴリー 金融資本市場 | |
| 2026年4月1日 | |
| 会計基準を変えるリスク | |
| 前田昌孝 マーケットエッセンシャル主筆 | |
| 日本では税制にしても会計基準にしても、長期的な影響を二の次にして、そのときどきの都合で安易に変更しているのではないかと見受けられることがある。足元では生命保険会社が保有する超長期国債の市場価格が帳簿価格から50%以上下落しても、減損処理を不要とするルール変更が実施されようとしている。ご都合主義の変更が相次げば、一般の投資家は何が企業の本当の経営実態なのかわからなくなる。 | |
| カテゴリー 金融資本市場 | |