| 2025年4月2日 | |
| トランプ政権のエネルギー政策 | |
| 藤和彦 経済産業研究所コンサルティングフェロー | |
| トランプ政権のエネルギー政策の要諦は「エネルギー・ドミナンス(支配)」だ。トランプ氏は就任初日にパリ協定からの離脱を宣言するなど迅速な動きを示しているが、政策の柱である「原油生産を日量300万バレル増やす」ことは困難だろう。原油生産は政権発足前から記録的な水準に達しており、原油価格が安値で推移する中、増産のインセンティブは乏しく、「原油価格の下落」と「原油生産の増加」を両立させることは不可能な状況にある。トランプ政権の誕生を待ち望んでいた石油業界からは政策面での不確実性への懸念が生じており、特に関税政策に対する不満は強い。トランプ政権が悪弊を改めない限り、エネルギードミナンスの実現は「絵に書いた餅」に終わるだろう。 | |
| カテゴリー 金融資本市場 | |
| 2025年3月19日 | |
| なぜ今、銀行の再編を論じるべきなのか | |
| 田中克典 ありあけキャピタル代表取締役CIO | |
| 日本における「金利のある時代」の到来により、銀行業界の競争環境が大きく変化している。これまでのゼロ金利・マイナス金利の環境では、与信費用の低さや国債売却益によって銀行の収益が維持されてきた。しかし、金利が上昇すると資金利益は増加する一方で、経費が増加し、経費率の高い銀行は競争力を失う可能性があり、優勝劣敗が明らかになることになる。地方銀行の再編は、経営効率の向上や人材確保の観点から避けられない選択肢となる。県内再編やホールディングス化を通じて規模拡大と効率化を進め、競争力を高めることが重要だ。 | |
| カテゴリー 金融資本市場 | |
| 2025年3月5日 | |
| アメリカ資本市場規制の方向性 | |
| 若園智明 日本証券経済研究所理事・主席研究員 | |
| 第47代合衆国大統領に復帰したドナルド・トランプの下で、アメリカの資本市場はどのように変化するのであろうか。本稿では、①トランプ大統領が発令した大統領令、②連邦議会上院の委員会が公開した第119会期の優先事項、③観測されたSECの規制行動の3つのパートにわけて、第2次トランプ政権における資本市場規制の方向性を考えてみたい。デジタル資産への積極的な規制対応や、SEC委員長代行による気候変動情報の開示規則の不支持表明などはバイデン前政権の方針を覆す行為である一方で、発行体の資本アクセスの改善策などは第1次政権時(2017年1月から2021年1月)の施策を踏襲している。総じて共和党の市場規制の信条の実践であると言えよう。 | |
| カテゴリー 金融資本市場 | |
| 2025年2月19日 | |
| セキュリティトークン市場の現状と課題 | |
| 平田公一 日本STO協会常務執行役員・事務局長 | |
| 我が国におけるセキュリティトークンに係る法規制は、世界に先駆け2020年5月に施行された改正金融商品取引法に規定され、その取扱いが明確化されたことで、米国のように、取扱われるトークンが暗号資産なのか有価証券なのかといった論争もなく、ST市場が順調に拡大しているように見える。そこで本稿では、セキュリティトークンがどのように当該改正金商法において規定され、ST市場がどのように発展してきたかを振り返りつつ、今後のST市場の発展に欠かせないいくつかの課題を明確化する。 | |
| カテゴリー 金融資本市場 | |
| 2025年2月5日 | |
| トランプ政権の誕生が日本の市場関連規制に及ぼす影響 | |
| 池田唯一 大和総研 専務理事 | |
| トランプ政権の誕生で米国の政策には様々な変更が予想される。市場関連規制の関係でも、気候関連開示規制、暗号資産規制、コーポレートガバナンス関連などの分野で政策の変更が生じうる。本稿では、そうした米国における変化が日本での動きにどう影響を及ぼしうるのかについて考察する。これらの規制をめぐる問題状況は日米で随分と違いがあり、米国での動きがすべて日本の参考になるものでもない。しかし、日本における今後の取組みの方向性を確認していく上では、米国の状況をよく踏まえておくことが重要となる。米国における一連の動きの中では、証券法制の下で市場規制当局の権限の範囲がどこまで及びうるのかといった問題も提起されており、この点にも留意していく必要がある。 | |
| カテゴリー 金融資本市場 | |
| 2024年9月4日 | |
| 三菱UFJ事案の本質(上) —グローバルスタンダードによる顧客情報の管理を | |
| 森本学 日本証券経済研究所 理事長 | |
| 金融庁が本年6月に処分を行った三菱UFJ事案については、「規制違反自体は悪いものの、日本独特のファイアーウォール規制に抵触したものに過ぎない」という受け止め方が一部にある。しかし、本事案では、銀行グループ内で無規律に顧客情報が共有・流用されていた実態が明らかになり、それは著しくグローバルスタンダード及び市場の常識に反するものである。わが国銀行の顧客情報管理に関する考え方が、グローバルスタンダードからズレていることは、ファイアーウォール規制見直しの議論の過程でも顕在化しており、今回の事案の予兆ともなっていた。本稿では、そうした三菱UFJ事案の根本原因を明らかにするとともに、必要な対応策について私見を述べることにしたい。 | |
| カテゴリー 金融資本市場 | |
| 2024年8月21日 | |
| 資産運用立国実現のための3つの新プリンシプルを読む—プリンシプルを用いた政策遂行はどこまで有効か | |
| 池田唯一 大和総研 専務理事 | |
| 政府の「資産運用立国実現プラン」を受けて、3つのプリンシプル(①プロダクトガバナンスに関する原則、②ベンチャーキャピタル向けのプリンシプル、③アセットオーナー・プリンシプル)の策定が進んでいる。プリンシプルを策定して関係当事者の行動変容を促そうとする取組みは、これまでにもコーポレートガバナンス・コードや顧客本位の業務運営の原則などの例があるが、こうした手法にはこれまで必ずしも良い評価だけがあったわけでもない。また、仮に過去のプリンシプルに一定の成果が認められるのだとしても、それが各方面に拡張された場合に、本当にねらい通りの成果につながるのかとの問題もある。本稿では、3つの新プリンシプルの内容を概観するとともに、プリンシプルを用いた手法の効果と限界について考察する。 | |
| カテゴリー 金融資本市場 | |
| 2024年8月7日 | |
| 米景気堅調と高金利・ドル高の下でのカネ余り | |
| 吉川雅幸 三井住友DSアセットマネジメント チーフマクロストラテジスト | |
| 世界経済については分析すべき点が多いが、今後1~2年を考える上で、①大幅利上げをうけた米景気の先行き、②米金利高・ドル高の下でグローバルな金融環境が緩和的である理由と見通し、に注目したい。米景気は利上げの影響で減速に向かうが、移民増や企業の資金ポジションが良好なことなどから、失速は避けられよう。また、グローバルな金融環境が緩和なことは、流動性が潤沢=一種のカネ余りであることを示唆している。当面米インフレが鈍化を継続し、米金利が低下し始めると米国に集まった資金が分散、米国以外の株式や新興国債券などにプラスに働く可能性がある。ただ、中期的には①軟着陸、②金融市場の不安定化、③インフレ再燃など、複数のケースが考えられる。 | |
| カテゴリー 金融資本市場 | |
| 2024年7月24日 | |
| 日銀の正常化ペースは遅すぎないか | |
| 前田栄治 ちばぎん総合研究所 取締役社長 | |
| 日銀は金融政策正常化の方向に舵を切った。そのペースについて様々な評価があるが、正常化ペースが遅くなりすぎるリスクの方が気になる。日銀は2%インフレ定着を目指し「意図的な」出遅れ戦略を採用しているようにみえるが、それが「意図しない」出遅れに変化する可能性があるためだ。リスクを高めうる要因として、①名目成長に比べた中長期金利の異例な低さ、②「早すぎる正常化」といった過去の批判も踏まえた日銀の正常化スタンスの慎重さ、などが挙げられる。それによって生じる可能性が高いとみられる主な歪みは過度な円安である。対応策としては、2%目標の柔軟化、為替による物価変動への意識を高めること、などが考えられる。 | |
| カテゴリー 金融資本市場 | |
| 2024年7月10日 | |
| 金利がある世界において銀行が重視すべき課題 | |
| 野崎浩成 東洋大学 教授 | |
| ここ1年強における銀行株価の良好なパフォーマンスは、金利上昇に伴う銀行業績改善への期待を反映したものと考えられる。それは運用サイドの収益性改善に比べ、負債サイドのコスト負担増分が限定的で、これは主に預金金利の市場金利感応度が低いことが背景にある。しかし、スマホバンキングに象徴される行動様式の変化は、預金者の行動が以前とは異なる様相をもたらすかもしれない。ネット専業銀行のコスト競争力を踏まえれば、リアルの銀行も預金金利を高めに設定する必要が出てくる可能性は容易に想像できるため、預金プライシング戦略などは極めて重要となる。しかし、金利引き上げ競争は収益性低下を招くと同時に、資産効率改善の機会を失うことも意味する。本稿では金利ある世界における「バランスシートマネジメント」の重要性を示す。 | |
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